9月議会の論点

9月の定例会が間もなくお盆明けに始まろうとしている。なんといっても9月議会で注目されるのが、水道料金の改定案が提出されることだ。

現在のつくば市の水道料金をなぜ改定しなければならないのか?簡単におさらいをしておきたい。
1.まず赤字経営の体質改善。つくば市は2度の合併に伴い、水道事業会計も大きく影響されてきた。しかしながら、約30年以上の間、料金改定を行わなかった結果、給水原価(費用)に対して、供給単価(収益)が高くなっており、「逆ザヤ」現象が長く続いてしまっており、赤字経営が継続している状態にあります。

2.わかりやすくいえば、茨城県より210円ほどの単価で、仕入れて、市民の方には、170円ほどで売っているわけです。これでは、いつまでたっても経営改善がなされるはずもありません。

3.また一時ピーク時には74億円ほどあったいわゆる積立金も平成28年度は7億円。平成29年度末見込みでは、3億7,000万円になる見込み。来年度予算編成にも支障がきたすようなひっ迫した状態になりつつあります。

4.さて、つくば市の水道料金については、他の近隣自治体との比較の表も参照にしていただきたい。
生活ガイドドットコムよりの比較表だ。
http://www.seikatsu-guide.com/area/compare_cities/?cid_1=443&cid_2=458&tub=3

これを見ると如何につくば市の水道料金が安いかわかる。もちろん、安いから値上げをするわけではない。あくまでも経営状況の改善をはかるために料金改定をするべきである。言わずもがなだ。

5.つくば市は、前市原健一市長の在任中に、これを踏まえてつくば市水道事業審議会を開催。2年間で合計9回に及び水道料金についての答申案を協議した。

6.昨年の11月に市長選挙が行われて、新しく就任した五十嵐市長は、今までの経緯を踏まえて、今回の9月議会で、料金改定案を提出することになったわけだ。先日の8月8日に、議会で全員協議会において、その概要説明会が行われた。

7.次の表を見ていただきたい。水道審議会の答申案と、今回、五十嵐市長が提出するであろう改定案の比較する表を私なりに作成してみた。

実は、私は、今年の3月議会において、自分の一般質問で水道料金について質問をしている。当時は、議員の中からもなかなか明確に「値上げをするべきだ」との意見が出されていなかったので、あえて一般質問で、私のほうから、執行部に対して、「値上げは止む無し」との質問をした。さらに、2年間9回に及ぶ答申案を議会に提出するべきではないのか?との立場で、質問をした経緯がある。

今回の五十嵐市長による、案については、答申案と比較した方が市民にとってわかりやすいのではないだろうか?

まず、全体の改定率を38%(答申案)から、21%に下げている。なるべく市民に対して負担を少なくし配慮したことが伺える。しかしながら、その分、企業債の充当率が30%(答申案)から、90%に増えている。これは、いわゆる借金を増やして財源を確保した形になっていると言えよう。これからの水道加入者に対して負担が増える形と言えよう。
これにより、答申案では内部留保金は平成30年度には、10億円を確保できるはずだったのだが、市長の案では、平成34年度にずれ込むことになる。この辺も不安定要素なのかな??とも思えるところもある。

他の特徴は、福祉減免制度(弱者対策)は継続。当たり前ともいえる。

一般会計からの繰り入れは、今までは、4億円ほど。これも継続。しかしその目的は赤字補てんという性質ではなく、逆に、未整備地区の促進などの工事整備に充てられる。これは答申案と同等の内容になる。

最後に、まだまだつくば市には水道の未整備地区が多くある。10年間で190億円を投入して、整備計画を促進させることができる。どちらにしても財源の確保なしでは、整備はできない。市民の皆様には、負担を強いることは声を大にして言いたくはないが、値上げは逆に市民サービスの向上や安全安心な水道事業の経営には必要なことである。ぜひ、ご理解をいただきたい。

簡単に概略は説明してみたが、9月議会では、この答申案と市長案の比較をしながらの議論が闊達にされるのではないかと予想している。議会運営委員長としても、各会派各議員の意見を冷静に見極めながら、ぜひ、まとめていきたいと考えている。