4月 臨時議会 (共謀罪の関連の意見書)

4月14日の臨時議会3月議会では、「共謀罪」の創設につながる組織犯罪処罰法改正を拙速に行わないことを求める意見書 が、市民ネットワーク、共産党、民主党、新社会党の会派の代表者から提案された。

質疑があったので、私から以下のような質問。

1.「共謀罪」という言い方に、ちょっとこだわりがあるのではないかと感じてますが?意見書の内容をよく読んでみると、国際組織犯罪防止条約 (パレルモ条約ともTOC条約Convention against Transnational Organized Crimeともいわれる) について明言されていないのですが?今回、国会に提出されているこの「テロ等準備罪」と国際組織犯罪防止条約についての関係は、非常に重要だと考えております。国際組織犯罪防止条約と提案者が言われている「テロ等準備罪」の関係性をお聞かせ願いたいのですが?

それに対して提案者の皆川議員からは、明朗な回答が得られなかった。たぶん、TOC条約との関係をよく熟知されていないと思われる。勉強不足は否めない。提案者だったら、まず、その辺の法律提出の環境ぐらいは理解してほしいと思う。本来、国会で議論すべき問題を、つくば市の地方議会で議論するわけだから、しっかりと勉強してから、提案者とならなければいけないだろう。

当然の如く、公明党の小野やすひろ議員と私、五頭やすまさが、反対討論をしました。前段で、小野やすひろ議員が、非常に、正確な問題意識の素晴らしい反対討論をしていただきました。私は、2番目だったので、補足で反対討論をしました。

私の反対討論で述べたかったことをまとめました。下記のとおりです。

反対討論の趣旨。
今回の正式名称は、『共謀罪の構成要件を厳格化した「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案』です。これについては、一般市民の皆さんにも少しわかりやすく話をしたいと思います。
1.まず、国際テロ組織、及び、テロリストに今後、どのように日本が対応するべきか?ということです。そのためには、テロを防ぐためにどのようにしたらよいか?そして重要なことは、日本政府が責任をもって、2020年の東京オリンピック成功させるためにも、国際テロ組織などのテロとの戦いに対抗するために、我が国を守るためにも、自国の安全保障と世界の安全保障との協調体制を維持し、貢献するためには、どうしたらよいのか?ということであります。
2.そして、具体的にテロを防ぐためには、先ほど、お話しした国際組織犯罪防止条約(以下、TOC条約)などの世界の安全保障の蚊帳の中に、入っていかなければならないわけで、日本はTOC条約に加入しなければなりません。しかしながら、国内法の整備がないために、現在においても日本はTOC条約に加入することが実現できていないということであります。

TOC条約に加入することによって、我が国の組織犯罪の捜査に必要な証拠が外国にある場合に、迅速な共助を可能にします。
もしこの条約に加入しておらず、相手国と二国間条約もない場合、いちいち外交ルートを通さなくてはなりませんし、協力を得られるかどうかもわかりません。
同様に、我が国で組織犯罪を犯した犯罪人が外国に逃亡した場合、この条約に加入していれば、相手国との二国間条約がなくとも引き渡しの請求を行うことができます。
TOC条約に加入しておらず、二国間条約もない場合、引き渡しを拒否する国が多くあります。日本の場合、二国間条約を結んでいるのは、アメリカと韓国の二か国のみです。

国連加盟国の中でこの条約にまだ加入していないのは11か国だけになりました。日本の他に、イラン、ブータン、パラオ、ソロモン諸島、ツバル、フィジー、パプア・ニューギニア、ソマリア、コンゴ共和国、南スーダンが未加入です。あの、北朝鮮ですらも加入済みです。日本は、この加入していない11か国の中に入っております。先進国メンバーでは、日本だけが加入しておりません。
このTOC条約に加入するためには、その前提条件として、【重大な犯罪の合意又は組織的な犯罪集団の活動への参加を犯罪とする法整備】が必要です。これが所謂、共謀罪と言われているわけなのでしょうが・・・。
実際は、国会でしっかりと議論して頂ければいいわけですね。国会議員が。特に、今回の法案に対して、反対をしているのは野党の方は、しっかりとした質問をしていただきたいと思います。

反対の方の言い分は、要約すると。
日弁連(日本弁護士連合会)が反対の意思表示をしておりますが、日弁連の言い分は、「新たな共謀罪立法なしで(TOC条約)を批准することができる」というスタンスをとっています。要は「共謀罪の成立なしで、加入国が認めれば加入できる」と言っています。日弁連がそのように主張するのであれば、締約国の187か国の中で、共謀罪立法なしで、批准した例があるのか?法解釈により加入できる事例があるのか?そのために必要な法的手段を、日弁連は提示すべきであります。しかしながら現状は、187か国が、日本の加入を認めていないのは、事実として共謀罪がないからでありますし、187か国は、既に共謀罪を持っていたか?もしくは、新たに制定したために、締約国になっているということで、この事実は明確であります。

また、民進党も条約締結には、共謀罪もテロ等準備罪も不要であると主張されておりますが、民進党は民主党時代に「共謀罪を導入することなく条約に入ることができると公約(マニフェスト)を掲げて、政権に就いたものの、その3年3か月間の間、実際は、条約を締結することができませんでした。民進党は今回の共謀罪を反対する前に、民主党時代に、条約に加入できなかったその理由を明確に説明するべきであります。そして、民主党政権の時の反省をもとに、(反対するのであれば)誠実な対案を出すべきであります。今回の国会で、注目される点は、野党の質疑だと私は考えております。この質疑がしっかりとしたものでなければ、国民は、本当は何が必要で、何が必要でないかが?理解することができないからであります。

皆様、思い起こしてほしいと思いますが、安保法案の時のように、国会前のドンチャラ軍団や、国会にプラカード持ち入れた、いわゆるプラカード軍団が、(選挙で選ばれた国会議員なのに)デモ?ハンスト?このような、国会中継のTV画面を、プラカードで埋め尽くすようなことは、国会ではしないでいただきたい。

ちなみに先般、衆議院予算議事会があったときに、日本維新の会がプラカードの予算委員会の持ち込み規制を提案しました。昔は、自民党までもプラカードを使っていたわけですからね。維新の提案は、真に素晴らしいと思います。当然、受け入れられると思っていたら、これに反対した政党がおりました。『プラカード以外の自分の荷物など?どこまでが範疇なのか?よくわからない』と言ういいわけで、反発して却下されたそうです。その政党は、そうです。民進党です。全くもってなんていう野党なのだろうか?とホントに考えてしまいます。

過去に、自民党は提案したことがありますが、廃案になって実現することができませんでした。

過去の共謀罪を提案した時は、676個の罪を対象として共謀があった場合は処罰するとしていました。
今回は277個の罪に関して、「組織的犯罪集団」がその遂行を計画し、実行準備に着手したことを処罰することとしました。
※ 共謀罪の時は、条約に加入するためには、長期4年以上の罪(刑期の上限が4年以上の罪)、676個全てを処罰の対象とする必要があるというのが外務省の主張でした。その際、676個はいくらなんでも多すぎないか、もっと対象となる罪を減らすべきではないかという議論をしました。しかし、外務省からの回答は、条約に入るためには、一つたりとも減らすことはできないでした。しかし、その676個の罪の中には、業務上過失致死傷のように故意のない犯罪や爆発物使用未遂のような独立未遂犯罪も含まれていました。故意のない犯罪や未遂で終わる犯行を計画するのは想定しがたいため、本来ならば、こうした犯罪は対象から取り除かれるべきでした。また、内乱や爆発物使用のように、すでに共謀、陰謀を処罰する規定があり、新たな法制の対象とする必要がないものもありました。交通事故の場合の措置義務違反のように、極めて限定された状況下でのみ成立する罪で、そもそもその実行を計画することが想定しがたいものもありました。676個を精査すれば、こうした罪は共謀罪の時にも対象から外すことができたはずでした。今回は外務省も嘘をついていたわけではなく、もし、対象犯罪を削って、批准後にこれでは不充分であるということになったら大変だと、水増ししたままを主張したのでした。

今回の法案も、国民の意識も、この法案に対する理解度が高いとみられ、賛成の支持の方が高いとの意識調査の結果も出ているようです。また今回は、公明党さんも賛同して頂き、責任政党として、自民党と一緒に、この国際テロ対策に万全を期すために、ご尽力を頂いております。しかしながら、広範囲に解釈をすれば、プライバーの問題などで、誤解を生みやすいなどの懸念もあることも事実でございます。ですの、ぜひ、野党の皆さんのしっかりとした質疑、そして議論を展開していただき、そして、国民の皆さまにも、何が必要で、何が必要ではないのか?理解を深めていただけるような、国会での議論をしていただきたいと思いますので、拙速に行わないことの意味は、理解できますが、拙速の表現の仕方は、いろいろありますが、「うっかり」「ちゃっかり」としたいい加減な法律を可決しないように、稚拙な法律が可決されちゃったら国民は「がっかり」しちゃうわけですから、「しっかり」と議論を国会で展開することを強く希望したいと思います。そういう意味では、今回の意見書の内容は、十分理解できるものです。

しかし、議会で提出される意見書としては、TOC条約の明記がないなど、問題の理解、見解がまったく相違しているものなので、反対する立場であります。

以上で、私の見解を述べさせていただきました。皆様からのご意見も・・・。

 

また、長文で、怒られそうですが・・・・。