つくば市の紫峰学園建設
2017年度当初開校を目指す(仮称)紫峰学園の建設工事の入札で、7月に執行した2度の入札がいずれも不調になった。入札では、清水建設㈱が54億3000万円で応札したが、予定価格を大幅に超過。7月24日に一回目。再入札は、7月30日に行われたが、清水建設㈱は、1回目も2回目も同じ金額。これにより、つくば市は随意契約に移行する予定だ。
不調の原因は、建設業界の人件費や資材価格の高騰など様々な要因が考えられるが、昨年の入札契約適正化法(入契法)の法改正により、不調という現象があらわになった場合は、発注者側に法的責任が発生することになる。つまり、発注するつくば市側に、法的責任論が発生することになるわけだ。
先の6月の私の一般質問でも、このような環境変化に基づいた上での、入札制度についての考え方をつくば市の執行部に質問をしました。
私の質問の中でも、昨年から今年度までの不調の件数は、63件の不調が出ている。一昨年の不調の件数は、同じくらいの数だった。
つまり1年間もかけても不調の改善はなされていないことになります。
総務部長の答弁では、次のようだった。(低入札調査価格制度についての関連質問より)
◎総務部長(飯泉省三君) 不調の件数については、昨年とことしは似たような数字だったかなと思います。
ここで議員と認識がちょっと違うところがあると思っているんですが、それは制度そのものから発生した不調というものでなくて発生する不調というものが結構あるわけですが、昨年度について言えば、入札参加者なしというところで21件ほどございました。それから、予定価格に達しなかったというものも19件ございました。そういう低入札制度とかの制度にかかわるものではない不調といったものが結構あったなと思っています。これは昨年度もそうでした。多分その前もそうかなと思います。
じゃあ何でそういう入札参加者がいないような状況が出てきたのかと言えば、そういう細かい調査、分析は行ってはいないんですが、例えば設計価格などについても県のほうに準じて行っているということもあります。ただ、いろいろな状況は企業の方からも担当のほうでは聞いているようなんですが、明快な理由というのはちょっとお答えできません。
~つくば市議事録より抜粋~
つくば市の執行部も改善に苦慮しているという現状だろうか!?
さて、ここで茨城県はどのように対応しているか?
県土木部では建設3課(建築指導課、営繕課、住宅課)と建設業協会による意見交換会が頻繁におこなわれている。この意見交換による効果により、協会側からは、工事の事前周知や、適正な単価設定、工期や発注次期の設定、設計変更への対応、総合評価方式の5項目など提案要望している。また県は、状況把握に努めるとともに極力要望に応じる姿勢を見せるなどの報告がなされている。「担い手3法」の成立を踏まえて発注者の責務が明確化されたことにより、受注者も将来的な見通しをもって労働環境や人材確保、人材育成に取り組むことができる。昔は、行政側と建設業界側が意見交換を行うと、不正な入札になるとの疑念が持たれたが、今の建設業界や入札制度の不調による行政執行の不確実性まで出ている現象は、そうとう深刻な危機的なことだとの認識を持つ必要があると考える。
東京の国立の陸上競技場の見直しの様子をみても、今回のつくば市の運動公園整備事業などの問題をみても、建設業界との密接な意見交換なしには、これからの公共事業の進み方や入札制度のあり方はありえないようになっているのが現状なのだ。もちろん不正な癒着にもとづくようなやり取りであってはならない。つくば市民の納税者のお金を有効に確実に、安心と安全な使い方をするために、行政と建設業界が真摯に意見交換する環境をいち早く構築するべきだと考える。
今回の9月では、小久保議員がこの点をまた違った視点から指摘してくれると思う。