12月議会最終日

昨日は、12月議会最終日です。
平成28年度の決算特別委員長としての委員長報告。
そして、請願29号 第12号の核兵器禁止条約の日本政府の署名と批准に関する請願書の反対討論を行いました。
議員番号9番 自民つくばクラブ・新しい風の五頭泰誠でございます。
請願29号 第12号 核兵器禁止条約の日本政府の署名と批准に関する請願書について、反対の立場から、討論をいたします。
先に浜中議員より、るる述べたことにほぼ同じ内容になると思いますが、今回の核兵器禁止条約の重要な点は、この条約に国際社会を導く力があるか?という点であります。核兵器禁止条約は、核保有国の同意が条約発効の条件になっておらず、非保有国だけで、合意すれば成立させることは可能であるとなっております。つまり、この条約は、核保有国やその安全保障を核兵器に依存する国などの状況は無視して「廃絶に同意せよ」と迫る形になっているわけであります。
委員会で、請願者は、ロシア、アメリカ、中国、イギリス、フランスなどの核保有国の核弾頭は、トータル的にも近年大幅に、減少してきたと解説していただきました。事実でありますが、これはNPT(核兵器不拡散条約)による運用によるものが大きく寄与しております。
NPTの役割により、核保有国と非保有国との合同会議として、国際社会を取り込んで、長年にわたり、数を重ねて、その枠内で核軍縮と核兵器廃絶に向けてプロセスを整備してきた。大事なことは、核軍縮及び核廃絶が、核保有国と非保有国との共有規範であるということでありまして、この国際社会規範の積み上げは、並々ならぬ努力の結果ともいえるわけであります。
また一方で、これらのNPTによる運用を続けていても、それでも NPTの加盟国でない国家で、イスラエルとパキスタン、インドが核保有国となっております。またNPTの加盟国でありながら、北朝鮮とイランは、核保有国となり、NPTを脱退しております。
このように、逆に核保有国が誕生している現実も世界の情勢であることも事実であります。また一方、国家以外のテロ組織集団が、核開発の技術向上に取り組み、現実的に核保有を企んでいる組織もあるとの懸念も大きいわけで、まさに、国際情勢は複雑怪奇であります。
日本の立場も極めて複雑です。対、北朝鮮に対しては、長年の対話路線を変換しているわけでありまして、20数年も続けた結果、北朝鮮に核技術の進歩向上の時間を与え、ミサイル発射による脅し威嚇は、数知れぬほどになり、これ以上の対話による余裕を与えることできません。これらの脅しに屈してはならないわけでありまして、日米同盟の核抑止により、日本の安全保障体制を構築している現状、すぐにでも同盟を解消するわけにはいかない状況であります。
もし、同盟国であるアメリカに核禁止を促した場合は、北朝鮮の対日対米政策も大きく変わり、威嚇を続ける不法国家である、(核保有国である)北朝鮮を利する事態にもなりかねない。これは、脅し屈する訳でありまして、とても看過できないわけであります。またお隣の中国の対日対米政策にも大きな影響を与え、日本の安全保障の脅威は拡大して、日本独自の自主防衛整備が大きく変換する必要が生じる危険性もある。これが現実的なのかどうか?簡単な話ではないわけであります。
北朝鮮の隣国、韓国では今、核保有議論が湧き出るほどで、韓国と同様な対応が日本に迫られた場合、核廃絶どころか、自国の安全保障を優先する軍拡に走る議論が出されれば、まさに、本末転倒、本来の目的が遠のく事態になる可能性もある。
このような複雑な世界情勢の中で、今回の核兵器禁止条約が、長年にわたってNPTの運用による、核兵器軍縮及び廃絶に向けた国際社会規範の積み上げを壊しかねない、核保有国と非保有国との国際社会を二分する、分断する状態を作りかねない恐れがあるわけです。とても「国際社会を導く力になる」とは、考えられないわけであります。
核兵器の禁止の本来の目的は、核保有国の認識や意識を変える現実的な努力及び成果、結果が最優先されるべきであります。軽々に、廃絶の受諾を迫り、強要することが重要ではないはずであります。
そういう意味では、日本の外交は、まさに我慢強さを持ち、効果的な外交力を発揮して行かなければならないわけで、つくば市議会としても、この動向を冷静に見極めるべきで、この請願については、賛成するべきではないと考えております。
以上の理由により、請願29号 第12号 核兵器禁止条約の日本政府の署名と批准に関する請願書について、反対討論といたします。