入札のこと

昨年の暮れに、つくば市の入札で不調になった物件が10数本でた。やはりなかなかスムースな入札になっていないようだ。原因はいろいろなことが考えられる。

私が思いつくままに挙げてみよう。
今、建設業界は、仕事が多くある。復興需要とも言えるのだろうか?アベノミクスの影響もあるが、民間でも比較的に堅調に需要があるためだと言える。しかしだからと言って、とても利益が上がるような仕事は少ないのが現状。東日本大震災の復興需要により、このつくば市でも、建築、土木、電気、設備工事など仕事が多い。技術職人やそれに関連する人材不足、資材高騰なども重なって、実際の人材不足の原因は、公共事業費を大幅に削減したために(ピーク時よりも約半分以下にした)、技術職、職人の多くの方が、仕事を辞めたり、廃業したために、専門分野がいなくなってしまったことが、背景にあるのはもちろんである。

そこへ来て、つくば市の入札の時期。12月末から1月にかけての入札工事は、大体が3月末の工期になる。つまり業者側からすれば、仕事はそこそこあるのであれば、儲かる仕事。利幅がある仕事。工事しやすい仕事。無理がない仕事を選ぶわけである。

そしてつくば市の入札制度は、一般競争入札だから、入札に参加するしないは、業者の自由な選択によるものであるわけで、つくば市の仕事は、ここ数年来ず~~と、低い落札価格や設計変更がなかなか実現できないとか?近年は、役所の方の努力でかなり改善されているわけなのだが、業者側もなかなか悪いイメージから払拭できないでいる理由から、つくば市の入札工事は、業者側から「魅力がない範囲」に入ってしまっているようで、入札に参加する会社がつくば市内の会社が特に、なかなか一般競争入札に参加しない現象がおきている。

それが入札の不調が増えている原因だと考えられる。昨年も土地改良の入札が2回とも十数件不調がでている。つくば市の行政としても、なんとしても、この不調を止めなければならないと思うが、なかなかその対処策に頭を悩ませているのが現状のようだ。

12月議会の都市建設委員会の協議会の時も、この入札不調に関していろいろな議論がなされた。担当する職員も大幅に激減していて、本来の仕事が増えたのに、職員の数が少なすぎることが指摘された。都市建設常任委員会として、職員の増員確保を執行部に強く要望したところだ。

また積算設計価格の金額が、入札の予定価格として反映されているわけだが、その設計価格と入札発注時の実勢価格が、先ほどの人件費の高騰や資材の高騰などにより、大幅な差が生じていることに、役所として、機動力のある対応ができないことも原因にあると考えている。工事の種類や資材によりいろいろな差はあるが、ものによっては、設計価格の2倍以上になっているわけで、全般的にこの基調は、当分、続くわけで、このままでは、不調入札の連続にただ役所は指を咥えてみているだけになりかねない。

ただひたすら市役所の担当は、業者に電話をかけて、入札に参加してください。とのお願いの電話掛けをしているだけである。

市役所の積算設計価格においては、まだ依然として部切りをしているとの噂も聞く。これでは、業者さんに、「入札に参加してくれ」と頼んでも、業者の方は、不信感があるので、参加するわけがない。つまり、やはり市の入札は、魅力がないものになってしまうわけである。

一昔前だったら、政治家と建設業界の関係は、そこに癒着がつきもので、極めてアンダーグランドなダークなイメージで、一般市民もそれは当然のことと予想はしていた。業界を擁護するまたは業界側の政治家は、「利権にまみれている」との悪いイメージが植え付けられて、それ以来、政治家自身が、建設業界との接触を敬遠するようになった。そしてむしろ最近では、政治家自身の選挙の当然のキャッチコピーとして、「利権と手を切る」という言葉で、有権者に訴えて選挙で勝つために、常識的な言葉にもなった。

私は、建設業界の仕事をしていたから、「五頭議員は、業界の利権で当選した人だ」とも揶揄されることもある。自然と確かに建設業界側に立った考えが出やすいのは事実だ。否定はしないが、何も特別な意識もなく、今の建設行政のやり方は、おかしいくなっていると感じる。

もちろん、自分の指名した会社や自己利益になるために活動することや働きかけることは、許されざることである。しかし、制度や行政の根本的な問題として、今の入札制度が、改善されないのであれば、しっかりとした意見を言わなければならない。

つくば市の入札は、現在、予定価格が非公開の入札が続いている。1500万円以上の物件に関しては、すべて非公開である。しかし、よく歴史的な経緯をみれば、もともと昔は予定価格は非公開だった。それを公開にしたのは、業者と行政側の担当者の癒着があったからだ。予定価格をこっそりと教えての贈収賄事件が過去にあったので、予定価格を公開したのである。

今の予定価格の非公開は、きちんと積算能力がある会社でなければ入札ができないとも言えるが、逆に、言えば過去の事件性が再びできる環境でもあるということは、ここできちんと述べておきたいと思う。

今の入札に必要なのは、私が思うには、一般競争入札であってもいい。しかし、予定価格はある程度公開して、最低制限価格を13%~もっとより少なくするべきだ。つまり敢えて落札した会社が適正な利益を確保できるようにするべきだ。適正な利益は、地元の会社の地場産業育成の観点からも必要だ。大地震や竜巻被害にあったときに、頼りになるのは、やはり地元の近くのダンプやトラックやクレーン重機などをもった会社が、災害から地域を守ってくれるわけである。

地元の仕事がとれるためには、一般競争入札に「市内本社」などの条件をつける。また環境美化活動など普段から社会貢献をしている会社にはより大きな評価を与えればいいわけだ。

つまり、この方法しかないわけだ。私は考える。思うのである。

みんなで議論をすればある一定の答えがでるはずなのに、それとは反対の人気とりに走る。政治家がこれに躍起になっている。ポピュリズムの台頭。これが今の政治の現状だ。それは国の政治ばかりでなく、地方の政治にもある。

勇気はいるが粘り強く自分の考えを説いていきたいと思う。

皆さんのご意見は・・・・如何に!お待ちしております。